talking modulatorとは

 talking modulatorとは口にくわえたチューブの先端から楽器の音を出してマイクで拾うという強引かつ体感的なエフェクターである。 口の形を変えることによってギターやキーボードなどの音を人間の声のように変化させるのだ。 エフェクターとは言っても実際に人間の口を使うのだから当然のことながら実に人間的で独特の効果が得られる。
 talk box, voice modulator, talking machineなど様々な呼称もあり(商品名なのかもしれない)特にこれが正解、ということもないようだが広くは talking modulator で通用しているようだ。

 talking modulatorをメジャーにしたのはジェフベックだとよく言われるが、大衆にアピールしたという意味ではリッチーサンボラ(BONJOVI)だろう。 living on a prayer のイントロのウワウワウワウワという奇妙な音、あれである。 どうやってあの音を出しているのか不思議で仕方がなかった音楽少年少女(当時)も多かったのではないだろうか。
[ slippery when wet - BONJOVI ] living on a prayer収録

 しかし、なんと言っても故ロジャートラウトマン(Zapp)は別格、唯一無二の talking modulator使いであると言えよう。 彼の場合はキーボードで使っていたのだが、ただウワウワ言わせるだけの、ワウペダルの様な使い方ではない。 歌うのである。 talking modulatorを使ってリードボーカルとして全編にわたって歌うのだからすごい。 PファンクともつながりのあるZappはシンセベースとエレクトリックドラムに2-4拍のハンドクラップなど、好きな人にはたまらないサウンドだ。 その上に talking modulatorの「ボーカル」が乗り、時には複数の talking modulatorによるハモリまである。
 残念ながら故人となってしまったが、ZAPPやソロ活動だけではなく、彼のサウンドに魅了されたアーティストたちと共演、レコーディングに参加し多くの作品を残している。
[ Zapp&Roger ALL THE GREATEST HITS(邦題:ザップ&ロジャー歴史大全)] 初期のヒット曲 "more bounce to the ounce"やカバー曲"midnight hour"など聴きどころ満載。

 talking modulatorと似たようなサウンドをつくり出すエフェクターとしてはボコーダーがあるが、こちらは人間の声を解析してそれに似た特性のフィルターを楽器音にかける、というものだ。 スペクトラムアナライザー(周波数ごとのレベルを測定するもの。カーオーディオなどの音にあわせて動くグラフなどに使われている。)でグラフィックイコライザーを自動的に動かす、といった原理。 その方式ゆえtalking modulatorのような生々しさには欠け機械的なサウンドになるが、逆にそれが持ち味でもあり「テクノ」においては欠かせないサウンドでもあった。 YMO、クラフトワークなどで聴くことが出来るロボットの歌声とでも言うようなサウンドがそれである。
 DigiTech "Talker"もこの方式のようだが「生々しさ」においては割とイイ線行っていると思う。

 また、最近のデジタルエフェクターで talking modulator の効果を模したものがあるがそれらは人間の声は使わずに、ペダルやLFOで、ワウのようにフィルターの周波数を動かすもの。 複数のフィルターの周波数の組み合わせによって声っぽくしていると思われる。 DigiTechやBOSS、KORGのエフェクターなどに入っているが、ちなみに発売時期などからすると、KORGのエフェクターやシンセに入っているものが元祖のようだ。
 元祖のようだ、、、ていうか、まあ実は私が作りました。

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